
驚くべきコーヒーの健康効果
「コーヒーは体に良い」──そう聞くと、信じがたいと思うかもしれません。しかしこの習慣の健康効果については、数十年にわたって研究が続けられています。
エチオピアの羊飼いが山中でコーヒーチェリーを食べた山羊たちが元気に飛び跳ねるのを見て発見したという伝説から、世界中の朝の定番になったコーヒー。その効果は、いまや科学によっても裏付けられつつあります。適量を守れば、集中力を高め、心臓の健康を支え、運動能力を引き出し、代謝を促進し、老化の原因となる酸化ストレスにも立ち向かう力を与えてくれます。
それでは、コーヒーが秘めた驚くべきパワーを見ていきましょう。
頭をスッキリさせる効果
〜記憶力や集中力を高める〜
「朝の1杯がなければ頭が働かない」そう感じたことはありませんか?実はそれ、気のせいではありません。コーヒーの主成分であるカフェインには、脳の働きを向上させる実際の効果があります。ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、画像を見たあとに 200mg のカフェインを摂取した人は、摂取しなかった人よりも24時間後にそれをより正確に思い出せたという結果が出ています。カフェインは眠気を引き起こすアデノシンという物質をブロックし、ドーパミンなどの覚醒物質を促進します。
1994年の研究では、わずかな量(エスプレッソ1杯ほど)でも反応速度が向上することが証明されました。プレゼンや試験、仕事のパフォーマンス向上に一役買うかもしれません。さらに、コーヒーを習慣的に飲む人はアルツハイマー病のリスクが最大65%も低下するという研究もあります。
コーヒーを淹れるたび、ただの一杯ではなく、脳への栄養であることを思い出してください。
心臓の健康をサポート
〜心拍の安定と高血圧予防〜
最近の研究でも、コーヒーの心臓への良い影響が明らかになっています。2023 年の Ochsner Journal に掲載された研究によると、1日2〜3杯のフィルターコーヒーを飲む人は、心疾患や高血圧、不整脈などのリスクが低くなると報告されました。
なぜ「フィルターコーヒー」が良いのでしょうか?フレンチプレスなどの非ろ過式では、コレステロールを上げるジテルペンという油性成分が含まれてしまいますが、紙フィルターはこれを取り除いてくれます。アメリカ心臓協会の別の研究では、長年コーヒーを飲み続けている人の血管の硬さが低く、動脈の健康状態が良好であることが示されています。
毎日のコーヒーが、心臓を守ってくれる。まさに「一杯の安心」です。
運動能力を高める
〜パフォーマンス向上の秘密兵器〜
ジムに行く前に、コーヒーショップに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?アスリートたちが愛用しているのも納得。カフェインは持久力を高め、疲れにくくする効果があります。2018年の研究では、ランニングやサイクリングなどの持久系運動において、パフォーマンスが明らかに向上するという結果が出ています。
カフェインは脂肪を燃料として使うよう体に指示し、炭水化物の消費を抑える働きがあります。さらにアドレナリンも増加し、やる気もアップ。
運動の30分前にブラックコーヒーを飲めば、最後の1kmまでしっかり走り切れるはずです。
代謝を高めて脂肪燃焼
〜ダイエットの味方〜
カフェインの「脂肪燃焼」効果は、単なるイメージではありません。
実際に、3〜7mgのカフェイン(体重1kgあたり)を摂取することで、運動中の脂肪燃焼が明らかに高まったという研究があります。150ポンド(約68kg)の人なら、200〜475mgのカフェインが目安。これはおおよそコーヒー2杯程度です。
運動をしていないときでも、カフェインは基礎代謝を最大11%まで高めてくれることが知られています。
また、断食中の空腹感を抑える効果もあるため、近年の「ファスティング」トレンドでも注目されています。ただし、糖分の多いラテなどではその効果が相殺されてしまうので、できればブラックで飲みましょう。
酸化ストレスと戦う
〜老化を防ぎ、細胞を守る〜
酸化とは、金属が錆びたり、リンゴが茶色く変色したりする現象で、私たちの体でも細胞を劣化させる原因になります。体内で自然発生する「活性酸素」は細胞にダメージを与え、蓄積するとパーキンソン病やアルツハイマー病、心臓病、がん、そして肌の老化を引き起こします。
そこで頼りになるのが「抗酸化物質」です。コーヒーには、クロロゲン酸をはじめとする抗酸化成分が豊富に含まれています。その含有量は、一般的な果物や野菜を上回ることも。1杯で最大350mgもの抗酸化物質が摂取でき、脳や心臓を守る効果が期待できます。
ブルーベリーも良いけれど、コーヒーは日常的に摂れる最強の「飲むサプリ」かもしれません。
飲み過ぎには注意
〜適量を守って賢く楽しむ〜
とはいえ、良いことばかりではありません。1日に400mg(約4杯)以上のカフェインを摂りすぎると、不安感、不眠、動悸などの副作用が出ることがあります。高血圧の方は特に注意が必要です。
妊娠中の方は、200mg(約1〜2杯)までに抑えるよう、FDAが推奨しています。また、午後以降に飲むと睡眠の質に影響を与えることがあるため、遅い時間は避けるのが賢明です。
「1日2〜3杯まで」を目安に、健康的な習慣として楽しみましょう。
コーヒーは健康習慣の一つ
〜愛され続ける理由がある〜
朝の1杯が、実は「健康の守り手」であることをご存じでしたか?コーヒーは、脳を活性化させ、心臓を守り、運動能力を向上させ、脂肪燃焼を助け、老化の進行を遅らせるという、実に多くの恩恵をもたらしてくれます。
「何となく飲んでいた」という方も、明日からはぜひ「意識して」コーヒーを楽しんでみてください。
そしてお気に入りのロースターや新しい焙煎豆にもチャレンジしてみては?あなたの身体と心が、きっと喜んでくれるはずです。